目的を持った調査によって見えてくるものとは?

博報堂アイ・スタジオでは数多くの Web サイトリニューアルを手がけています。現状に課題があったり、運営側の都合だったり、リニューアルの目的はさまざまですが、たいていの場合は「今より良くなる」「効果が上がる」サイト設計が求められます。

では、現状どこに課題があり、なにを優先的に解決すべきなのか? 要件定義の前に各種調査を実施して、そこをクリアにする必要があります。

今回は、ある EC サイトをリニューアルするに当たり、スタッフが総力戦で取り組んで実施した各種調査についてご紹介します☆彡

顧客を知れ!【顧客 × 購買 × 行動分析】  

□ 顧客分析

デプスインタビュー

まずは顧客を知ること。どんな人が、どんな意向で商品を購入しているのか? そのためには実際のユーザーの声を聞くのが一番だよね〜!ということで、 ターゲットに近いサイト利用者 3 名を抽出し、電話によるデプスインタビューを実施しちゃいました!…ドキドキしたー。でも、これでペルソナの元素材となる人物像やライフスタイルをつかみました。

サイトアンケート

インタビューでは拾いきれなかった実際の来訪者属性や意向をつかむため、サイトアンケートを実施。オリジナル商品が当たると触れ込み、2 週間で 500 名を超える回答が得られました!ほくほく♪

□ 購買(顧客グレード × RFM)分析

どの商品が、どのくらいの頻度で、どの程度のボリューム販売されてるのか?エクセル技を駆使して顧客グレードごとの売上状況を分析し、大多数となっている一見さんの存在や、定期購入者、また大量に頻回購入するプロ購入者の存在を突き止めました。

□ 行動(アクセスログ)分析

ある程度来訪者像がつかめてきた段階でアクセスログ解析を実施してみると、実はサイトに来訪しながら何も購入せずに離脱するユーザーが  96%  以上もいることが判明。しかもその層の多くは、どうやら若い女性…。まずは、この人たちに 1 回目の買い物をしてもらうことが最重要だと気づきました。

己を知れ!【サイト × SNS 現状分析+競合分析】

□ オンラインユーザーテスト

現状サイトの課題抽出に、おなじみオンラインユーザーテストを実施。競合サイトとの比較調査で、評価の高かった UI 要素はソッコー取り込みつつ、実はどのサイトもナビゲーションがイマイチ、という事実も見えてきました。

□ SNS 流入分析

得意先は SNS に力を入れていたため、投稿のサイト流入への貢献度を、弊社オリジナルの SNS 分析ツールと GA を合わせて確認したところ、シェアを意識していなかったり、 URL 掲載がないなどの凡ミスも多く見られ、サイト流入は全体の 2% 程度というオチに…。がんばってるのにもったいない!

□ 競合サイト分析

実はコレが一番悩みました。得意先は既にド競合の 2 店舗を執拗に調べ上げ、マネしようと躍起になっているようでした。でも待って!ド競合より絶っ対、 得意先のブランドイメージの方が高いはずだ。ただのマネではいけない!!そう感じた私は、ターゲットが読みそうな女性誌で1年間に紹介された食品・雑貨ショップをリストアップ、各ショップサイトの機能、コンテンツ、UI を調べ上げました。さらに 博報堂の消費者データベースと掛け合わせて、各ショップサイト来訪者の食への意識やこだわりをポジショニングマップに仕上げ、得意先ブランドの位置づけを再確認しました。

 

この様にさまざまな視点から顧客/サイトの現状を調査して、顧客セグメントと ペルソナ、コミュニケーションマップ、そしてそれらを踏まえた設計方針を 明確にしていきました。

いかがでしたか? 目的を持った調査を重ねていくことで、リニューアルの方針は自ずと明確になっていきます。調査にはコストと時間がかかりますが、ここをすっ飛ばしてしまうと要件定義や設計方針がぼやけてしまいます。リニューアルのゴールをめざして、得意先とタッグを組んで相談しながら進めていけるのが理想的ですよね。

●この記事を書いた人